» 「はたをらくにする」から「はたらく」というそうです自閉症者地域生活支援センター なないろ

加藤のコラム

加藤のコラム第19号

 

「はたをらくにする」から「はたらく」というそうです

 

「はたらく」の語源は「はた(他者)をらくにする」からきているという説があるそうで、まあそれが本当なのかどうかは置いといても、その語源でいいじゃないですかと言いたくなります。

 

さて、あるところで目にした文章の中に、こんなことが書いていました。

社員が仕事を継続する要件として、【やりがい・報酬・人間関係】の三つが重要。この三つのうち二つが欠けると社員は辞めていき、一つ欠けてもやめない。

なかなか深いことを言っているなと思ってこの文章を読みました。

 

ボクは福祉という業界で仕事をさせていただいていますが、芸能人やスポーツ選手のようにお金持ちになれるチャンスはありません(断言しちゃいましたけど、どこかから怒られないかな…)。したがって、三つの要件のうち、【報酬】については、少なくともお金持ちという視点から見れば欠けております(また断言してしまいました)。

だからこそ、やりがいと人間関係で勝負するのが福祉の矜持なわけですよ(もちろん福祉業界だけじゃないですけれど)。

 

じゃあ、ボクらの仕事のやりがいは何なのか。もちろん利用者さんやご家族を楽にするという最重要ミッションがありますが、力不足もあって、結果が出ないときもあります。だけど、はた(他者)は、利用者さんやご家族だけでなく、同僚も含まれるはず。休まずにそこにいて仕事をしてくれるだけで、間違いなく同僚やチーム全体を楽にしています。その場にいて、微力ながらも持ち場の仕事をすることで、周りを楽にできる→【やりがい】クリアですよ。どのスタッフも「いないと困る代わりのきかない存在」であって、この点においては芸能界やスポーツ界を完全に凌駕していると思います。だって、芸能界やスポーツ界は、休んだらだれかがその地位を奪いにいく世界、ボクらの業界は、だれかが休んだら早く戻ってきてね~と心底思う世界。よし勝った!お金持ちにはなれないけど。

そう考えたら、人間関係が悪くなるはずはありません。だってかけがいのない存在としてお互いを認めることになるわけだから。これで【人間関係】もクリアです。

 

以上、「はたをらくにする」という考えに立てば、仕事を続けることに誇りがもてるはずというお話でした。でも、誤解のないように言っておきますが、休むなと言っているんじゃないですよ。一人一人がいないと困る存在だということを言いたかっただけです。働き方改革に逆行しているわけではございません。

あれ、待てよ、オレがいなくてもなないろはまったく動じないな…。おや、オレははたを楽にしていないぞ…。あらどうしましょう…。不安な気持ちのまま、このコラムを締めたいと思います。

 

自閉症者地域生活支援センターなないろ  加藤 潔