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加藤のコラム

加藤のコラム第21号

 

カタカナ言葉に弱いけど強く生きていきます

 

今は亡きボクの親父は、NIKEのことを「ニケ」と本気で言っていました。血筋的に外来語に弱いのは間違いなく、その血を引いているボクはカタカナ言葉がスッと入ってきません。でも、覚えるといい気になって使いたがるという、めんどくさいやつでもあります。3年ほど前に「ダイバーシティ」という言葉を覚えて、よく使っていました。覚えるまでは「どこの街だ?」と思っていたのに、「多様性」という意味だとわかり、ピントのずれたことを言ってしまった後に「ダイバーシティということでご容赦ください」と訳のわからん使い方をしていましたけど。

 

カタカナ言葉を使って話している人を見ると、「ちょっと何言ってるかわかんない」とまず思います。偉そうに言っている人に対しては「日本人なら日本語で表現しろよ~」と心の中で悪態をつき(口に出す勇気もなく)、偉そうじゃなく言っている人に対しては「カタカナに強くてうらやましいな」とややねたみの感情を抱くという、ボクは実にちっぽけな人間です。

 

この数年で、気になったけれど、何のことだかよくわからなかった言葉がいくつかありました。基本的に、よくわからないカタカナ言葉はあまり好きじゃないので、好きじゃないものは調べる気にならないというひねくれたところがあり、勘違いというか適当な解釈をしている時期がしばらく続くのです。その中から三つ取り上げます。

 

その1 サブスク

サブスクリプションを略して「サブスク」と呼ぶそうです。月額や年額で聴き放題、見放題、使い放題というサービスらいしいですけど、「月額500円で見放題」って言えば済む話ですよね。サブスクという言葉をはじめて聞いたとき、地下鉄ホームにできたキヨスクのことだと思いましたから(サブウェイキヨスク)。あれ?キヨスク自体、元々何の意味があるの?

 

その2 アウトレット

アウト+レットだと勝手に思ったボク。レットって、サーブのやり直しのときに使う言葉だという認識が自分の中にあり、「アウトなやり直しっていうことは、かえってダメになるやり直し?」「アウトレットモールって、ダメなやり直しの密集?」「不良品ばっかりが集まっているところ?どうしてそんなところにお客さんがくるの???」という考えが最初に植えつけられてしまったので、いまだにアウトレットモールと呼ばれるところに行ったことがありません。ただ、アウトレットは工場直販とか処分品という意味だということを後から知ったので、そう考えると「当たらずとも遠からじ」でした。

 

その3 スキーム

とある会議中に「このテーマについてのスキームは?」と聞かれ、「スキーム???」「何それ?」でしたが、尋ねる勇気もなく知ったかぶりをしておりました。「スキムミルク」は水に溶かして飲むものだと知っていましたから、スキームは水に戻すってことかと勝手に解釈し、「このテーマを水に流せってことですか?」と、ずれたことを言ってしまったのでした。周りの人は???です。「スキームだよ、スキーム」と上から口調で言われ、「日本語で言えよ」と思いつつ、今さら「スキームって何ですか?」と聞くのも恥ずかしくて、「具体的に何を聞きたいのですか?」という万能の質問を繰り出しました。そうしたら「大まかにでも計画があったら教えてほしいと言っているんです」と、「スキーム=枠組みを持った計画」ということを日本語で言ってくれたのでした。日本語で言ってくれたらこっちのもの。コテコテの日本語で説明させていただきました。

 

どうかみなさん、加藤にはカタカナ言葉を日本語に翻訳してお伝え願えるとうれしいです。それも合理的配慮でございます。合理的配慮があれば、ボクは強く生きていけます。

 

自閉症者地域生活支援センターなないろ  加藤 潔