加藤のコラム第37号
名探偵が犯人をおとす場面と同じだった
家でよく注意を受ける人間なのですが、その中のひとつに「電気をつけっぱなしにしている」というのがあります。使い終わったら地球環境のためにも電気を消すべきであるということはボクも重々知っております。たまたま消し忘れることがあるということなのですが…。
先日も「トイレの電気つけっぱなしだったよ。朝までついていたんだからもったいないでしょ」と、奥さんから注意を受けました。
でも、ボクは思ったのです。「トイレはボクだけが入っているんじゃないよな。だとしたら、ボクが消し忘れたと決めつけるのはどうなんだ?」
そこでボクは言いました。「あのさあ、ボクの消し忘れだとは言い切れないでしょ?冤罪って、こういう決めつけから生まれるんじゃないかなあ」
そしたら、うちの奥さんは思いがけない一言を発したのです。「私は、トイレの電気をつけてないから」
当然、ボクはこう返しました。「電気つけずにトイレしているなんて、それはあまりに強引な言い訳ですなあ」
すると、奥さんは手招きをしながらトイレに行き、黙ってあるものを指差しました。その指の先にあったのは、人感センサーのライト。そして、こう言ったのです。「節電対策で人感センサーライトをトイレに置いたのよ。だから、私がトイレの電気をつけるはずがない。電気をつけている人はこのセンサーの存在に気付かないわねえ。おわかりかな?」
刑事コロンボや古畑任三郎が、最後に犯人を追い詰める場面と同じでした。ボク以外に、電気消し忘れ犯人はあり得ないことを見事に証明されてしまいました。
もはや言い逃れはできません。ボクにできることはたったひとつ。「ほんとうに申し訳ございませんでした」と深く頭を下げ、執行猶予にしてもらうための懇願をすることだけでした。
自閉症者地域生活支援センターなないろ 加藤 潔