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加藤のコラム

加藤のコラム第42号

空気は読めるのか?

 

自閉症の人は空気を読むのが苦手だとよく言われます。

ボクは、雰囲気を察することと空気を読むこととは違うと考えていまして、「なんかまずいな」と感じるのが雰囲気を察することで、そのまずい状況を打破するために適切な作戦を考えて実行する行為が空気を読むことだと整理しています。

 

「あれ?なんかまずいな」と察することのできる自閉症の方はけっこういらっしゃいますよ。逆に、その雰囲気を察しない人はある意味よけいな悩みを抱えなくてもすむわけですから、それはそれで本人にとってはいいことなのかもしれません。

 

つまり、「まずいなと感じる⇒さて、どうすればいいかを考える」までは、自閉症の人たちもけっこういけると思うのですが、作戦が思いつかなかったり、思いついた作戦がずれていたりすることがあるので、空気を読むのが苦手だと言われてしまうのではないかというのが加藤が考えているところです。

つまりは、この作戦の立て方についてフォローできればいいのですから、状況把握のための相談とかロールプレイとかが有効な戦略になることも多いわけですね。

 

ところで、自閉症の人に限らず、空気を読むってかなり難しいことだと思いませんか。ある調査によると、全国の10〜60代の男女1,789名を対象に「自分は空気が読めるほうだと思うか」という問いに対して、「自分は空気が読めるほうだと思う」と答えた人は、なんと全体の62.2%いたという結果が出ております。

「空気読める人ってそんなにいるんだな~」という感じですが、雰囲気を察することも含めて空気を読むととらえている人が多いのだろうなという気がします。世の中には不祥事に巻き込まれてしまう人もいっぱいいますけれど(自己責任という人も多々いるでしょうが)、謝罪会見を含めた事後処理でしくじる人も多いですよね。それは言い方を変えれば、その人たちは空気を読み切れなかったわけで、空気を読むってやっぱり難しいことだと思うんですけどねえ。だって、空気には色がないし文字が書かれているわけでもないから、読めるものがそこにはないんですよ。

 

ボク、雰囲気はそこそこ感じているつもりですけれど(あくまであまーい自己評価)、空気までは読めないという確固たる自信があります。したがって、まずいなと感じた時点でとりあえず謝っておくという、国際化社会ではとうてい生きていけないタイプです。でも、いいんです。外国に移住する気はまったくないので。

 

自閉症者地域生活支援センターなないろ  加藤 潔