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加藤のコラム

加藤のコラム第87号

「やっぱりやめます」と言えませんでした

 

先日、人間ドックを受けました。

人間ドックについては過去にも書いておりまして(加藤のコラム第40号 2022年7月29日公開)、ぜひそちらもお読みくださいませ。

 

さて、話を本題に戻します。

受付の女性から「オプション検査も追加できますよ」と言われ、血液検査の項目を増やすことができるという説明を受けました。どうせ採血をするのだし、1回の採血でできる検査項目が増えるだけなんだなというお得感に目がくらみ、「ぜひお願いします」と言ってしまいました。

 

ちなみに、恥ずかしながら、ボクは注射が大っ嫌いです。針を体に刺すなんて、なんてことをしてくれるんだと思っていますし、針が刺さるところは当然見られません。いつも苦し気に泣きそうな顔であっちの方向を見ています。しかも「ウッ」と「オーッ」とか、声もよく出ているようです(自分を客観的に見ている余裕すらないので自分では声を出しているかどうかすらわかっていません)。

 

でも、人間ドックには採血という注射がメニューとして存在しており、人間ドックを受けるからにはその難関を突破しないとならないという覚悟を持って病院に行っています。どっちみちクリアしなければならない注射なのだから、検査してくれる項目が増えるという追加オプションはありがたいことだと、ボクは単純に考えたのです。

 

さあ、いよいよ採血の場面がやってきました。看護師さんは言いました。「加藤さん、オプション追加されていますね」と。ボクは「はい」と答え、心の中で「注射はいやだけど、検査項目増えますから頑張ります。採血しちゃってくださいな」とつぶやきました。

でも、次の瞬間、看護師さんからとんでもない言葉を聞いたのです。「オプションあるので、採血4本分取りますね」という恐ろしい言葉を。そして、試験管みたいなのを4本もジャラジャラとボクの目の前に置くではありませんか。

ボクはようやく気付いたのです。「検査項目が増えるということは採血の量も増えるんだ…。これはまずい」と。

 

しかし、「やっぱりやめます」とは言えませんでした。言いたかったけれど言えませんでした。自分で追加しておいて、それを撤回する勇気?はなく…。採血の間、「ウッ」と「オーッ」だけではなく「まだか…」という情けない言葉も発していたようで、看護師さんが「もうすぐ終わりますからねー。頑張りましょうねー」と、子どもに掛けるような優しい励ましをしてくださったのを覚えております。

 

どなたか、注射しないで採血できる発明をしてくださいませ。心から願っています。

 

自閉症者地域生活支援センターなないろ  加藤 潔