加藤のコラム第104号
聖地巡礼
映画やテレビドラマ、アニメの舞台となった場所を巡るのを「聖地巡礼」と言うみたいですが、聖地になるには【①そのドラマがヒットする】【②熱狂的なファンがいる】【③特に観光地でもないけれどなんか心に残る場所である】という3つの条件があるように思います。①と②については他力本願ですからどうしようもありません。③の「なんか心に残る場所」について、ボクなりに検証してみたいと思います。そんな検証してどうなるの?と自分で自分につっこみたくなりますが、無駄な空想はボクの趣味なので。
◎スタイリッシュな聖地をねらうなら…
地下鉄駅への入口があって、車通りの多い交差点があって、オシャレなビルがあって、カフェとかバーがあって、川に面した公園みたいのがあって、遠くに観覧車が見えて、主人公はデザイナーズマンションに住んでいる、そんなところが聖地になるのではないかと勝手に空想しております。
ドラマ的には、デザイナーズマンションの隣に偶然引っ越してきた男女が、最初は反発しあっているものの、なぜかあらゆるところで出会うもんだから(生活圏が同じだし)いつのまにやらお互いに惹かれ合うというストーリーでいかがでしょうか。いかにもベタすぎますか?ボクが出演するとしたら、バーのマスターでいつもお客さまより酔っている男か、川に面した公園をチンタラ走っていて主人公の男女を別れ話をしている恋人だと決めつけて、別れないように話しかけてくる空気の読めない男あたりでお願いします。「おまえ、出る気なのか?」というみなさまからのあきれた声が聞こえてきました。
◎田舎っぽい聖地をねらうなら…
こちらはストーリーの空想から始めます。
中学生の男女がお互いに好意をもっているもののそれを打ち明けられないまま、男の子は家族の事情で都会へ引っ越し、そのまま離れ離れになる。そして、十年後、女の子は障がい者施設で働いていて、仕事の悩みを抱えながら疲れぎみの日々。その施設に男の子が中途採用でやってきて、二人は十年ぶりに出会う。この十年で、男の子は人に言えないような過去を背負ってしまったようで、二人の間にはギクシャクとした空気が流れている。二人が仕事での苦労を仲間たちと乗り越えていく中で、男の子は過去と改めて向き合い、そして二人はいつしか強い絆を感じるようになる、なんてどうでしょう?
障がい福祉にかかわるスタッフを主人公にしたドラマが…ない。少なくとも加藤は把握しておりません。だからこそ、そこで働くスタッフにスポットを当てたドラマが当たれば、障がい福祉をめざす人たちも増えるのではないかという浅はかな夢を加藤は抱いているのであります(加藤のコラム第52号「福祉に人材を呼び込もう」にも書きました)。
聖地としては、バス停やベンチ、自動販売機、田舎の小道。そして、二人が働く障がい者施設。障がい者施設のスタッフがよく行くコンビニや弁当屋、そして定食屋や居酒屋。で、この障がい者施設になないろが立候補いたします。なないろを聖地にして、そこに巡礼者がいらしたら、利用者さんのアートグッズを購入していただき、巡礼者には「聖地で働きませんか」の勧誘をして聖地巡礼ならぬ聖地勤労を勧めるというプロジェクトです。
ボクが出演するとしたら(また言うのか?)、障がい者施設のクソも働かない職員(役作りいらない)か、新作メニューがいつも不評な居酒屋店主をやります(自分で決めるな!)。
自閉症者地域生活支援センターなないろ 加藤 潔