加藤のコラム第119号
気温0度が温かいと感じる幸せ
北海道の冬は寒いです。そりゃ北海道ですから寒いのは当たり前。そんな冬の日、気温が0度だと、「今日、あったけえな」と口に出ます。実際、あたたかく感じます。0度なのにあたたかく感じるんですよ。冷蔵庫の中は、2度から6度が適正温度と言われていますが、冷蔵庫の中より寒くてもあたたかく感じる、この瞬間的な幸せ感は何かとても大切な考え方を示唆しているように思うのです。
厳しい状況が続いていても、あるひとときの安堵に幸せを見い出せる人が幸せを味わえるのだという、人生の教えが隠されていると思いません?おおげさかなあ。
ボク、関東で仕事をしていたときに、冬に最高気温が10度を下回ると「今日、寒いな」と思ってしまっていました。北海道人のくせにそのくらいの気温で寒いと思うなんて情けないという気もしてしまうのですが、厳しい寒さを味わっていないからあたたかさに気付けなくなっていたんだと思います。
でも、夏はクソ暑かったので(クソなんて下品な言葉を用いてしまいました。すみません)、35度越えが続いた後の32度は「今日は涼しい」と感じることができました。32度もあるのにです。雪国ではないところにお住まいの人たちは、厳しい暑さという状況の中で、少しだけ気温が下がったことに幸せを見い出せるわけで、北海道の冬の気温0度と同じことです。
とするならば、日本全国いや世界各国どこに住んでいても、厳しい状況が続く中で、あるひとときの安堵に幸せを見い出せる場があるということになります。つまり、この場をどうとらえるかで、人生観が変わるように思うのです。
「今日は0度だ、あったけえ」と思うか、「あったかいとは思うけど0度しかないじゃねえか」と思うか、そこが分かれ道のような気がします。0度だから寒いのはそりゃ寒いんですよ、その寒さ自体は変わりませんが、その寒さに対する考え方を変えることはできる、それが人間のしたたかさでありしぶとさでありしなやかさであるように思います。
状況は変えられないとしても考え方を変えることを実は「気温0度理論」と心の中でひそかに命名している加藤でした。本日、世の中に公開いたしました。
自閉症者地域生活支援センターなないろ 加藤 潔