加藤のコラム第135号
「ツバをぬっとけば治る」と言われた世代
ボクが子どものころ、すりむいてケガをすると大人から「そのくらいのケガは、ツバをぬっとけば治る」とよく言われました。薬を塗ってほしいんだけどなと思いながらも、薬が登場する雰囲気もなさそうなので、仕方なくツバを塗っていました。今の時代、「ツバをぬっとけば治る」なんて言ったら総スカンくいそうで、使用頻度が激減している言い回しのように推測しております。
絆創膏を貼ろうとすると「絆創膏貼ると治りがよけいに遅くなるんだ」と言われ、さらに強く「ツバをぬっとけば治るんだ」と言われました。
さて、ツバには薬効性がはたしてあるのでしょうか。どうやら効き目はあるみたいです。唾液の成分は99%が水分で、残りの1%にナトリウム・カリウムイオンなどが含まれているらしく、上皮細胞や神経細胞の成長を促す因子があり、ツバを傷口につけることで傷が早く治りやすいということが科学的に証明されているとのこと。先人の知恵はすごいものです。
したがって、ハラスメント発言に厳しい目が向けられる今の時代で、「ツバをぬっとけば治る」と言ってしまったとしても、ツバハラスメントにはならないでしょう。ただ、「オレのツバをぬってやるか」と言ってしまったら、それはツバハラスメントに間違いなくなるので気を付けましょう(そんなこと言うやつはいないか)。
ツバだけではちょっと治りそうもない状況のとき、加藤家では、
「ケガでも湿疹でもとにかくオロナインぬっとけば治る」
「おなかが痛いときは正露丸飲めば治る(今は糖衣錠が主流ですが、昔は強烈なにおいのお薬でした)」
「龍角散飲めばのどは治る(昔の龍角散は苦い粉薬で、今は飲みやすいのど飴にもなっていますけど、龍角散を飲むときに咳をすると粉が飛び散るので、飲み終えるまで咳を我慢しろとよく言われました)
の三大薬が登場していたのを思い出します。そういえば養命酒なんていうのも家にあったなあ。オヤジが飲んでいました。養命酒で宴会する人はいるのだろうかと子どもながらに考えておりました。
この薬たち、いまだに世の中に存在していますから、すごい薬だったということですね。
ツバ、オロナイン、正露丸、龍角散、養命酒のように、「この先も確かに通用する本物」の価値をもった人間になりたいものだと思った加藤でした。
自閉症者地域生活支援センターなないろ 加藤 潔