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加藤のコラム

加藤のコラム第137号

タイパ、コスパ、スぺパ

 

タイパ:タイムパフォーマンスの略語。「タイパが良い」とは、使った時間に対して満足度が高いことを意味するようです。タイトカーではありません。

 

コスパ:コストパフォーマンスの略語。「コスパが良い」とは、お金の価値に見合う以上の利益や満足度が得られる状況を意味するようです。アラがくつろぐスパ(温泉)ではありません。

 

スぺパ:スペースパフォーマンスの略語。「スぺパが良い」とは、限られた空間を効率よく使っていることを意味するようです。っぱいーではありません。

 

こうした言葉が使われるのは、世の中が効率化重視の方向に進んでいるということなのでしょうかね。でもまあ、効率化重視の考え方が主流だとしても、あえて効率化を求めないことに価値を見い出す人たちも出てくるわけで、それはそれで逆に贅沢なことなのかもしれません。

 

たとえば、北海道から沖縄まで行くとして、交通手段を飛行機か船で比べてみると、タイパとしては時間短縮という視点から見れば飛行機が断然勝利です。でも船旅ならではのゆったりした時間を満喫したい方もいるはず。

 

家庭雑貨を購入する際に、みなさんは何を選ぶでしょうか。100均グッズ、無印良品、有名ブランドなどなど。すぐ壊れたとしても安い物のほうがいいと考える人もいるでしょうし、高くても長く使える物のほうが結局はお得だと考える人もいるでしょう(ボクは基本的に前者タイプ)。また、安くて量が多い食事を求める人もいるし、高級食材を堪能したい人もいます(これもボクは前者。食える量は落ちてきましたが)。

 

また、スッキリと収納された空間が落ち着く人もいれば、手が届くところに適度に物が散らかっている方に快適度を感じる人もいます(ボクは間違いなく後者タイプです)。

 

つまり、「○○パ」と言っても人それぞれで状況次第なのだから、「○○パが良くない」という評価は価値観の押し付けになるぜということを言いたかったのであります。一律的な価値観は意味を持たないし、好きにさせてちょうだいよという思いです。

 

テンション上げて頑張っていこうぜ~なんて気持ちを鼓舞することがありますが、テンション上げてうまくいく分野と冷静さを保ったほうがいい分野ってありますよね。気合いがパフォーマンスに好結果をもたらす場合もあれば逆に空回りしてしまう場合もあるわけです。ボクらが支援にあたるときも同じかも。熱い気持ちがいい雰囲気を作ることもあるし、それがうざく感じられてしまうこともあるし。で、新しい言葉を作ってみました。これが浸透すれば、「○○パが良くない」という一律的な価値観による表現はなくなっていくに違いありません。

 

テンパ:テンションパフォーマンスの略語。その場に応じた適度なテンションが結果につながるということであり、そのテンションは人によって状況によってさまざまなので、一律的な価値観による評価は意味がない。多様な価値観を改めて大事にしようという意味合いも込められた言葉である。テンーマの略語とは異なります。

 

自閉症者地域生活支援センターなないろ  加藤 潔