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加藤のコラム

加藤のコラム第141号

正義の味方とは

 

あなたにとって「正義の味方」と言えば誰ですか?

世代によって違うでしょうけれど、話の都合上、たとえばウルトラマン、たとえば水戸黄門のお二人をノミネートさせていただきます(敬称は省かせていただきました)。

 

この2人に共通する、正義の味方としての条件を整理してみましょう。

1)自分の持っている武器で悪をやっつける

ウルトラマンはスペシウム光線。水戸黄門は印籠。ウルトラマンと水戸黄門は怪獣や悪人を徹底的に叩きのめします。ウルトラマンは怪獣の息の根を止めてしまっておりますし、水戸黄門は自分で直接手を下すことなく悪人たちをとことんこらしめております。

2)強力な後ろ盾や仲間がいる

ウルトラマンには父、母、たくさんの兄弟がいて(すげえ大家族です)、いざとなれば誰かが助けに来る体制が整っています。水戸黄門には助さん、格さん、風車の弥七、そして、時間があればいつもお風呂に入っているお銀もいます。その仲間たちを主役にしたスピンオフストーリーはいくらでもできそうで、考えてみれば、ウルトラマンは全シリーズがスピンオフと言ってもいいくらいです。

 

さて、ここで大胆な問題提起をさせていただきます。ウルトラマンや水戸黄門はほんとうに正義の味方なのでしょうか。あらかじめお断りしておきますが、ウルトラマンや水戸黄門を批判しているわけではありません。深い尊敬の念を抱いております。あくまでひとつの問題提起です。

 

Katopediaでは、正義について次のように記載されています。

正義は人の数だけ存在して、どの人にもその人なりの正義があって、正義と正義がぶつかるとき、一方の正義が他方の正義を駆逐しようとするとそこに争いが生じる。正義と正義がぶつかることはあるが、その解決には他者への思いやりや、歩み寄りによる着地点の模索、組織や団体のルールに基づいた裁定が必要になる。

地球侵略を企てている怪獣にも、もしかしたら自分の星を守るという正義があったかもしれませんし、悪代官にも事情があったかもしれないし、その手下の人たちは生活のためにやむなく悪代官にしたがっていたのかもしれません。その人たちをやっつけるという行動だけで正義を遂行することが本当の正義の味方なのかなあなんて、ふと思っちゃったのであります。

ウルトラマンは、まず怪獣と話し合いを持つべきだし、水戸黄門は手下の人たちと大立ち回りをする前に、別の解決方法を探るべきで、それが真の正義の味方としてのスタンスなのではないのかなあ。

 

そう考えると、アンパンマンってなかなかの人物ですよ。アンパンマンはアンパンチという強力な武器を持っていて、しかも、ジャムおじさん、カレーパンマン、食パンマンなどなど、仲間が無尽蔵におります。正義の味方としての条件はクリアしていますが、ウルトラマンや水戸黄門と決定的に違うのは、アンパンマンはバイキンマンにとどめを刺さない温情をかけ、バイキンマンとズブズブの関係をずっと続けているという点です。徹底的にやっつけないで、相手の立場も思いやりながら正義も追求するという、ある意味理想形の正義の味方かもしれません。しかも、自分の顔を食べさせるという自己犠牲の精神もお持ちですから。

 

アンパンマンはやはり偉大です。

自閉症者地域生活支援センターなないろ  加藤 潔