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加藤のコラム

加藤のコラム第147号

人間関係の極意

 

田中角栄氏が大蔵大臣だった当時、秘書の早坂氏に、政治家として頂上を極めるには何が必要かを尋ねました。早坂氏は「味方を作り、増やすことです」と即答したのですが、田中角栄氏はすぐに「違うな。逆だ。敵を減らすことなんだ」と切り返したそうです。

 

そして、そのための数々の心得をすぐに説いてきたんですって。「人の好き嫌いはするな。誰に対しても一視同仁。いつでも平らに接しろ。来る者は拒まず、去る者は追わず。他人のために汗を流せ。できるだけ面倒を見ることだ。手柄は先輩や仲間に譲れ。損して得を取れ。進んで泥をかぶれ。約束事は実行せよ。やれそうもないことは引き受けるな」「これを長い間、続けていけば敵が減る。多少とも好意を寄せてくれる広大な中間地帯ができる。大将になるための道が開かれていく」「味方というのは、一緒に死んでくれる奴のことだ。そんなのがザラにいるはずはない。やみくもに味方を作ろうとして、相手の性根も確かめず、コメツキバッタの真似ごとをするな。味方顔した連中は、こっちの雲行きが危うくなれば、すたこら逃げ出すに決まってる。そんな手合いに頭を下げ、愛想を振りまくのは愚か者のすることだ」

 

田中角栄氏には賛否両論あるのかもしれませんが、このエピソードには人間関係の極意が詰まっていると思いますね。

 

美容家のIKKOさんはこんなことを言っています。

 

私の人生で「これ、やらなきゃよかった」と思うのは、自分の感情が高まったまま、相手に正義感を振りかざしてしまったときです。自分の想いが強くなりすぎて、勢いで言ってしまうことがあるのだけど、一生懸命説き伏せれば相手が動いてくれるものでもないのよね。感情の高まりのままで伝えると、逆に相手が不愉快になることが大半です。だから、自分の感情の高まりを一旦フラットにする作業が必要。思いが強くなったときに、一瞬でも間を置いて、「落ち着け」と心の中の自分に言い聞かすこと。感情が高まったままでは、伝わるものも伝わらなくなると思うから、気持ちをフラットにする意識を持ちましょう。

 

ひと言足りないことで起きる心労ってたくさんあると思います。「ごめんなさい」「ありがとう」もそうですね。あのとき、あの言葉さえ言っておけばよかったということはないかしら。例えば、自分が上司だった場合。部下に、「はい、これスケジュール」とポンと渡すことと、「はい、これスケジュールです。わからないことがあったら言ってね」と言うのでは、部下の感じ方もまったく変わりますね。相手が困らないように、ひと手間を惜しまないこと。それと基本的に、相手を信用しすぎてはいけません。誰だって間違いはあると思っておくことが重要です。最終確認はメールだけではなく電話が必要なときもありますね。ひと言の手間を大事に。

 

このIKKOさんの言葉にも、人間関係の極意がありますね。「どんだけ~」と賛辞を送りたい言葉です。

 

最後にとある人の言葉。

 

人間関係は「それまでの貯金があるかどうか」。人は完ぺきではないから、誰かを傷つけてしまうことがあるだろうし、やらかしてしまうこともあるかもしれません。でも、その前に人間関係の貯金があれば一発レッドにならずに持ちこたえられる可能性があります。ふだんから好感度を下げないための行いをコツコツ積み重ねているかどうかが、いざというときに生きてくるはずだと思うのです。そのふだんの行いはその都度評価されるものではないかもしれないし、絶大なる効果があるわけではないかもしれません。でも、ささやかな行いを積み重ねるしか人間関係の貯金を作ることはできません。一気に貯金したものはすぐにバブルがはじけますから。

 

こんなことを言っている、とある人って誰なのでしょう? そのとある人、実際にすてきな行いを積み重ねているとはとうてい思えないいいかげんなダメ人間ですが、ダメ人間なりにコツコツ人間関係の貯金をしていかなきゃと思って生きているみたいです。実行できているかどうかははなはだ疑問ですが、目標にしていることは間違いないようです。

 

自閉症者地域生活支援センターなないろ  加藤 潔