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加藤のコラム

加藤のコラム第36号

底辺職のことが話題になっていましたが

 

メディアやネットで、「底辺の仕事ランキング」というのが批判の対象になっていましたね。「就活の教科書」というサイト上で2021年5月から公開されていたみたいです。1年前から公開されていたのね?今まで誰も気付いていなかったのか、騒ぐほどのことでもないと思う人が多いのか…?

批判を受けて、その記事はすでに削除されているみたいですけれど、ネット世界というのは一度上げてしまうとたどりたどって調べることができるという、いいんだか悪いんだかよくわからない、両刃の剣みたいなところがありますから、どんな職業がリストアップされていたのか調べることができました。

冒頭では「何を底辺職と思うかは人それぞれで、底辺職と呼ばれている職業は社会を支えている人で、そのような人がいるからこそ、今の自分があるのです」という断りがあって、ランキングが書かれていたみたいです。

このランキングでは、上から、①土木・建設作業員 ②警備スタッフ ③工場作業員 ④倉庫作業員 ⑤コンビニ店員 ⑥清掃スタッフ ⑦トラック運転手 ⑧ゴミ収集スタッフ ⑨飲食店スタッフ ⑩介護士 ⑪保育士 ⑫コールセンタースタッフ となっていたようで。さらに底辺職の特徴として、「肉体労働である」「誰でもできる仕事である」「同じことの繰り返しである」と解説し、「平均年収が低い」「結婚の時に(収入面で)苦労する」「体力を消耗する」とも書かれていたらしいです。

この職種、いずれもエッセンシャルワーカーと呼ばれる(医療職もエッセンシャルワーカーですからね)、生活に必要不可欠でオンラインでは対応できないものですが、あるネット記事には「12種類の職業の人の神経をもっとも逆撫でしたのは、『誰でもできる』と断定したことだろう。どの職業も熟練と経験を積まなければ一人前にはなれない」と書いてありまして、確かにそういう見方もあるわなと思ったしだいです。

介護士と保育士が入っているということは、福祉業界を指しているとも言えますから、ボクも底辺職ということになるんでしょうね。でも、腹は立たないな。だって、ボク、底辺という言葉に悪いイメージ持ってないですし、自分の職業を否定する気もないですから。

底辺って「大事」「重要」「欠かせない」みたいな意味合いのはずなんだけどな。平行四辺形の面積の公式は底辺×高さだし、三角形は底辺×高さ÷2だし、台形に至っては(上底+下底)×高さ÷2と、底辺が上にも下にもあるということを言っています。底辺がわからなければ面積を出せないんですよ。底辺って価値あることだと思うんですけどね。ここは小学校の先生にお願いしたいのですが、面積の公式を学ぶときに、「底辺って大事だよ。底辺ってすごいね。底辺がないとすべてが始まらないんだ」と子どもたちにぜひぜひ伝えていただきたいです。

さて、批判で話題になったとはいえ、せっかく注目を浴びたんですから、この12種類の職業の人物を主人公にしたかっこいいドラマや映画を続々と作っていただければありがたい。年収はそう簡単に上がらないかもしれませんが、この職業がかっこいいという認知度を上げることは不可能ではありません。かっこいいかどうかなんて、本人や周囲の心持ちでいかようにも変わりますし。

そして、最後にもうひとつ。「就活の教科書」サイトの方も悪気があってこんな記事を書いたわけではないでしょうから、ここはひとつスポンサーとなってドラマや映画製作に全面的に協力していただき、12種類の職業のイメージアップに尽力されると会社の好感度もV字回復するはずです。

自閉症者地域生活支援センターなないろ  加藤 潔