1年のうちに1回くらい、夕方に家に帰れていてしかも一人でちびちびつまみながら飲めるという至高の時間を持てることがあります。そのとき、ボクがするのが孤独のグルメごっこです。聞こえてきた聞こえてきた。「キモーい」という声。別に一人でやっているのですからご迷惑はかけません。それをここで書くなと言われたらそれまでですけど。
孤独のグルメ、ご存じですか? 井之頭五郎さんというサラリーマンが出張等で出かけた先で、これだと心動かされたお店に入り一人で食事を堪能するさまを描いたドラマですが、主演は味わいある演技でおなじみの松重豊さん。食べっぷりがいいのですが、心の中のつぶやきもまたいい。
さて、この孤独のグルメごっこですが、まず、アマゾンプライムビデオで孤独のグルメをテレビ画面に映します(ボク、アマゾンプライムビデオの会員です)。それを見ながら、テーブルに並べた(並べると言えるほどはないですが)自分用のつまみを食べるわけです。で、松重さんの語りを真似しながら食べるのです。
「このサバの味噌煮の缶詰の味わい、なかなかいい」とか「塩辛がやたらと酒に合う」とか「マヨネーズとの相性がバッチリだ」とか心の中で言いながら飲んで食べます。これがけっこう楽しい。貧弱なつまみも映像の中の食事と合わさると豪華になったような錯覚を得ることができまして、年に一度の贅沢時間となるのです。
また聞こえてきた聞こえてきた。「加藤は妄想癖があるのか」という声。これは妄想ではございませんよ。空想遊びです。妄想は現実かどうかの区別がつかなくなってしまっている苦しい状況ですけれど、ボクは区別ついていますし楽しいので「空想」と呼ぶのが正しいのでございます。空想はタダですから。しかも、ポジティブシンキングのトレーニングとしても最高。貧弱なつまみを豪華にするポジティブシンキング。
そして、いい感じに酔っぱらい、自分で食器を洗って、あとは孤独なグルメを見るわけですけれど、そのまま寝落ちするという結末です。ちなみに劇中の井之頭五郎さんはお酒を飲めません。そこは真似しません。
社会福祉法人はるにれの里 理事長 加藤 潔
