定額のお金をお支払いして、メニューはそのお店にお任せするコース料理がありますよね。その場合、「本日のお料理」的なタイトルのお品書きというか料理の一覧がしたためられた紙が用意されていることがあると思います。
あの紙、いつもすげえなと思っていまして(「いつも」というのは、いつもそういう料理を食っているという意味ではなく、たまあに行くときにいつもそう思うという意味での「いつも」です)、何がすごいかって、三つくらいあるんです。
その1 会話のきっかけになる
「ここに書いてある料理ってこれかな?」「この字、なんて読むの?」「添えてあるこの花、食えるの?食ってみるか」なんて会話が生まれます。ただし、この会話はいわゆる前菜と呼ばれる料理の際に繰り広げられることが多いので、だんだん料理に関する会話は「うまい」と「腹いっぱいになってきたな」に集約されていきますが。しかし、この紙が会話のきっかけになることに異論なし。
その2 料理の見通しが持てる
この後に肉が出てくるのかとか、まだ2品もくるぞとか、終わりまでの見通しが持てます。見通しは大事です。日本食系の場合、おかずを全部食べた後にごはんとみそ汁と漬物が出てくることが多いのですが、あれはいったいどういう意図なのかがいまだによくわかりません。おかずなしでごはんだけ食べるのが日本食の作法なのかなあと考え込んでしまいます。まあお酒を飲みながら食事することを想定しているからごはんは最後に提供するという意図なのだろうという想像はできますけれど。ボクは家でも基本的に一品ずつ食べる派なので、最後にごはんとごはんのお供で締める人だからまったく違和感ないのですけれど、学校時代に三角食べをさんざん推奨された時代に生きてきた人間からすると、三角食べじゃなくてよかったんでしょと言いたくなってしまうのです。
その3 料理人の挑戦状?でもある
あくまで個人的見解ですが、「あんたが払ったお金に対して私はこれだけの料理を出しますよ。どうだ!」という挑戦状の役目も果たしているようにも思います。「○○直送の△△の刺身」とか書いていることがあると思いますが、「うちの店、すごいでしょ」という猛烈アピールです。味なんてよくわからないバカ舌のボクですが、こう書かれると「うまいに違いない」と単純に思ってしまいます。挑戦状であると同時に、効果絶大の宣伝チラシでもあるわけです。
孤独のグルメごっこ(シン加藤のコラム通算第208号「孤独のグルメごっこ」参照)の次は、自分で勝手にお品書きを書いて自分で味わう「料理の鉄人ごっこ」をやってみようかな。一品目「カニカマのマヨネーズ和え キューピー産」二品目「刺身の盛り合わせ 値下げバージョン」締めのごはん「無洗米 海苔の佃煮添え」みたいな感じで遊びたいと思います。
社会福祉法人はるにれの里 理事長 加藤 潔
