シン加藤のコラム(理事長やってます)

シン加藤のコラム 通算第247号  国力とスポーツの強さは関係あるのかないのか

2026.07.17

国力っていうものをどう評価するのかよくわかっていませんが、人がたくさんいて豊かそうな国とか外交的に強そうな国って、スポーツも強いという感じがなんとなくします。オリンピックのメダル数とかを見ると、そういう感じがするなと漠然と思っておりました。

 

で、最近、日本の国力が落ちているとか、なんか衰退気味だとか、いろいろと言われていますが、だけど、日本のどのスポーツも世界の中で強くなっていますよね。これはどういうふうに説明がつけられるのだろう。

 

認定NPO法人very50 副代表である谷弘 望さんのネット記事が興味深かったので抜粋して引用させていただきます(長くなりますが)。谷弘さんがある先輩と話しているときに気づいたことを書かれています。

 

(ここから引用)

そのうち私が強く関心を持ったのは、「世界で活躍できる」というロールモデルの存在が人材の輩出に大きく影響しているという指摘でした。

例えば野球。 かつて日本人の野手がメジャーで通用するなんて誰も思っていなかった時代に、イチローが海を渡り首位打者をとった。その前には、トルネード投法でドジャースのヒーローになった野茂英雄がいた。 彼らが「通用する」という事実を作ったからこそ、ダルビッシュ有や田中将大が続き、そして今、大谷翔平という規格外の存在が生まれた。

サッカー界も同じで、 三浦知良(カズ)が当時最高峰とされていたイタリアのプロサッカーリーグ・セリエAの土を踏み、中田英寿がローマでリーグ優勝に貢献した。そして、中村俊介がスコットランドで年間最優秀賞を獲得し、本田圭佑や香川真司がビッグクラブで背番号を背負った。 その「バトン」が繋がれてきたからこそ、今の三笘薫や久保建英といった世代からは続々と世界トップレベルで戦う選手が生まれています。

こういった“追うべき背中”が続いたからこそ、“世界で戦える日本”になれているのではないか、というのが彼の見方でした。

このロールモデルがいるかいないか、というのは、個人のレベルだけではなく、社会のレベルで考えた時にも重要な話なのかもしれない。そう考えて自身が携わる教育業界を見た時、今の中高生たちの目の前に、「自分もあっち側に行ける」と思わせてくれるリアルな背中がしっかり用意されているのか、疑問に思いました。

心理学者のアルバート・バンデューラによると、「自分ならできる」と信じられる感覚(=自己効力感)が行動と成長のエンジンで、この自己効力感を高める要因として4つの要素があるようです。

成功体験(自分でやってみてできた)

代理体験(自分と似た誰かができているのを見た)

言語的説得(「君ならできる」と励まされた)

生理的・情動的状態(心身のコンディション)

 

これを踏まえて考えてみると、2番目の「代理体験」を得る機会がやはり少ないように感じます。

この代理体験は、単に「すごい人」を見るだけでは効果が薄く、「類似性」と「到達可能性」があることが重要だそうです。 例えば、野球少年が今の大谷翔平を見て、「すごすぎて自分にはできない」「次元が違う」と思ってしまえば、それは「代理体験」にはならないということです。

「あの人は、自分と同じ出身だ」 「あの人も、10代の頃は自分と同じようなことで悩んでいた」 「あの先輩も、昔は英語が全然喋れなかったらしい」。こうした「共通点」を見出し、「今の自分と同じ地点からスタートして、あそこまで行けた」というストーリーを肌で感じたとき、初めて人の心に「魔法」がかかる。「だったら、自分にもできるかもしれない」。 この、心の奥底でカチリと入るスイッチが、その後の人生の到達点を変えうる。「能力」の差ではなく、「なれると思っているかどうか」という「認識」の差が、結果として実力差を生むのです。

(ここで引用終わり)

 

つまり、日本全体の国力は、「代理体験」というものが薄まってきたからちょっと停滞気味になっているけれど、スポーツの世界においては、この「代理体験」に見合うロールモデルがたくさんいるから躍進しているのではないかということですね(ざっくりまとめちゃってすみません)。個人的には、とても腑に落ちました。

 

もっと踏み込んで考えると、国力とその分野での躍進度は必ずしも一致するわけではない、国力がどうであれ「代理体験」の要素が重要であるということですよね。はるにれの里には、「代理体験」の対象になるようなロールモデルはたくさんいると思っていますので、うちの法人には躍進の可能性がちゃんとあるということだぜと思いました(ロールモデルに成りえる当の本人たちはきっとそんなことを何も考えずに仕事しているでしょう。自分でロールモデルだと思っちゃっている人はきっとロールモデルではないと思うので)。

 

ちなみに、ボクごときの薄っぺら人間はロールモデルには絶対になれません。願わくば「ローゴ(老後)モデル」になりたいけど。間違っても「ローヤ(牢屋)モデル」になってはなりません。

 

 

社会福祉法人はるにれの里 理事長  加藤 潔

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